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第5回食品加工雑学講座

皆さんこんにちは!

合同会社Alba、更新担当の中西です。

 

皆様新年あけましておめでとうございます

今年もどうぞよろしくお願いいたします

 

食品加工は、私たちが日々口にする食品をより安全に、長持ちし、かつ美味しく提供するために欠かせない技術です。原材料そのものを加工して製品化する過程は、単に食べ物を変化させるだけでなく、保存性、栄養価、利便性、美味しさを向上させる役割を果たしています。また、食品加工は科学と技術の進歩に伴い、そのプロセスや目的が絶えず進化しています。この記事では、食品加工の基本的な特徴や、現代の食品産業における役割、そして消費者のニーズに応えるための技術的な工夫について深く掘り下げます。


1. 食品加工の基本的な目的と役割

食品加工の主な目的は、食品の「保存性」「安全性」「美味しさ」「利便性」「栄養価の向上」を達成することにあります。それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。

保存性の向上

食品は加工されることで保存期間が延び、腐敗や劣化を防ぐことができます。例えば、鮮魚を冷凍加工することで、流通中の腐敗を防ぎ、遠隔地まで運ぶことが可能になります。また、缶詰やレトルト食品などの保存食品は、加熱殺菌や密封包装を施すことで、長期間にわたる保存が可能です。

安全性の確保

食品加工の重要な役割の一つは、食中毒や有害物質のリスクを最小限に抑えることです。原材料中の微生物を殺菌するための加熱処理や、製造環境の衛生管理、食品添加物の適切な使用などは、安全な食品供給において欠かせません。

美味しさの向上

加工技術によって、原材料の風味や食感をより引き立てることが可能です。例えば、パンやケーキの焼成工程では、メイラード反応が起きて香ばしい香りが生成されます。また、発酵技術を用いることで、チーズや日本酒など独特の風味を持つ食品が生まれます。

利便性の向上

現代のライフスタイルに合わせて、食品加工は調理の手間を省く役割を担っています。冷凍食品やレトルト食品、カット野菜、インスタント食品など、簡単に調理できる商品が多くの消費者に支持されています。

栄養価の補強

食品加工は、栄養価を高めるためにも利用されます。例えば、牛乳にカルシウムを追加したり、ビタミンを強化したシリアル食品を作るといった加工がその例です。また、低脂肪や低塩分といった健康志向の製品も加工技術によって実現されています。


2. 主な食品加工技術の種類

食品加工には、保存、調理、風味付けなど様々な目的に応じた多様な技術が存在します。以下はその代表的な例です。

熱処理(加熱・殺菌)

熱を加えることで微生物を殺菌し、食品の保存性を向上させる技術です。以下のような加工方法があります。

  • パスチャライゼーション(低温殺菌)
    牛乳やジュースに使用され、風味を保ちながら有害微生物を殺菌します。
  • 高温殺菌(UHT殺菌)
    レトルト食品や缶詰に用いられる技術で、長期保存が可能になります。
  • 焼成・炒め
    パンや焼き菓子、炒め物など、食品の風味や食感を大きく変化させる重要な技術です。

冷却・冷凍技術

低温で食品を保存することで、腐敗を防ぐ技術です。

  • 急速冷凍
    食品の細胞を壊さずに凍結することで、解凍後も高品質を保ちます。冷凍寿司や冷凍フルーツなどに活用されています。
  • 冷蔵保管
    野菜や果物、乳製品など、低温での保存が必要な食品に利用されます。

乾燥・脱水

食品の水分を除去することで保存性を向上させる技術です。

  • フリーズドライ(凍結乾燥)
    スープやインスタント食品で使われる方法で、風味や栄養価を保ちながら保存性を高めます。
  • 燻製
    肉や魚を乾燥させるだけでなく、独特の香りを付けることができます。

発酵

微生物の働きを利用して食品に新しい風味や特性を与える技術です。

  • ヨーグルトやチーズ
    乳酸菌を利用して発酵させ、保存性と風味を向上させます。
  • 味噌や醤油、日本酒
    日本特有の発酵食品で、長い歴史の中で培われた技術です。

包装・密封

食品の鮮度を保ち、外部の影響から守るための技術です。

  • 真空包装
    酸素を除去することで腐敗を遅らせます。精肉や冷凍食品で広く利用されています。
  • 窒素充填包装
    スナック菓子やコーヒー豆の包装に使われる技術で、酸化を防ぎます。

3. 現代の食品加工技術のトレンド

食品加工技術は、消費者のニーズや社会的な課題に応じて進化しています。ここでは、現代における食品加工のトレンドをいくつか紹介します。

健康志向への対応

健康志向の高まりにより、低脂肪、低糖質、高タンパクなど、健康に配慮した食品の需要が増えています。これに応じて、以下のような加工技術が注目されています。

  • 減塩加工:塩分を減らしながらも風味を損なわない技術。
  • 低GI食品の開発:血糖値の上昇を抑える食品の加工技術。
  • プロバイオティクス・プレバイオティクス:腸内環境を整える成分を加えた食品。

持続可能性と環境配慮

環境負荷を減らし、持続可能な社会を目指すための技術が注目されています。

  • 代替肉(プラントベースフード):大豆やエンドウ豆を主原料とした肉代替製品が増加。
  • フードロス削減技術:廃棄される食材を加工して新しい製品にする取り組み。

食品安全とトレーサビリティ

消費者の食品安全意識の高まりにより、原材料の追跡可能性や製造工程の透明性が求められています。

  • ブロックチェーン技術:原材料の産地や流通経路を消費者が確認できる仕組み。
  • 自動化とAIの導入:食品の品質検査や異物混入防止にAIを活用。

4. 食品加工がもたらす課題

食品加工には多くの利点がありますが、一方でいくつかの課題も存在します。

  • 添加物への懸念
    食品添加物の使用に対しては、安全性や健康への影響を懸念する声があります。加工食品の中には、消費者が避けたいと感じる化学物質が含まれる場合もあります。
  • 加工による栄養価の損失
    高温処理や乾燥によって、食品中のビタミンや酵素が失われる場合があります。このため、栄養価を保持する新たな加工技術の開発が求められています。
  • コストと手間
    加工食品の製造にはコストやエネルギーがかかるため、環境負荷が問題となる場合があります。

まとめ 食品加工は、現代社会において必要不可欠な技術であり、私たちの食卓に多様な食品を届ける重要な役割を果たしています。その特徴は、安全性、保存性、利便性、美味しさ、そして栄養価の向上にあります。さらに、消費者の健康志向や環境への配慮が進む中、食品加工技術は今後も進化し続けるでしょう。一方で、食品添加物や栄養価の損失などの課題にも向き合いながら、より持続可能で安心な食品づくりが求められています。食品加工の発展は、私たちの生活をより豊かにするだけでなく、地球全体の未来にも大きな影響を与えるでしょう。

 

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